「司法試験予備試験の勉強は予備校で」というのが少し前まで常識でしたが、今はアガルートアカデミーの予備試験講座や資格スクエアの予備試験講座が登場して、自宅で学ぶという選択肢が選べるようになりました。
そのなかでも特に新しい選択肢がBEXA(ベクサ)です。
実際にBEXAの講義を受講して司法試験予備試験に合格する人も増えており、SNSで口コミも拡がって注目度が上がっています。
この記事では、BEXA(ベクサ)とはどんなサービスか、BEXAで人気の予備試験講座、利用方法について解説します。
BEXA(ベクサ)とは
BEXA(ベクサ)とは、株式会社BEXAが運営する資格試験の対策講座を配信・受講できるプラットフォームです。
資格試験の合格者や稀少なキャリアがある人が講師として講義動画を配信することができ、ユーザーは配信動画を購入して視聴することができます。
資格試験の合格者がYouTubeで勉強法の紹介動画を配信するケースが増えていますが、似たようなイメージです。
より近いのは、オンライン学習サービスのUdemyです。
資格試験の合格者などがプラットフォームに登録して一定の金額を支払えば、講義を配信から決済やサポートなどのシステム利用まで自由にできます。
現在は、司法試験予備試験、司法書士試験、行政書士試験の合格者や予備校講師などが実績や専門性を活かした講義を配信しています。
BEXA(ベクサ)と予備校との違い
BEXAは予備校ではなくオンライン学習のプラットフォームです。
資格試験の予備校(オンライン・通信含む)との違いは次のとおりです。
違い | BEXA | 予備校 |
---|---|---|
講座の配信(提供)者 | 講師個人 | 予備校 |
講座の配信(提供)方法 | オンライン | オンライン・DVD・通学 |
講座の企画・運営 | 講師個人 | 予備校の運営企業 |
プラットフォーム | BEXAのシステム | 予備校のシステム |
講座の購入 | 講座単位またはセット | 講座単位またはコース |
予備試験講座を配信(提供)しているのは同じですが、システムの違いが大きいです。
どちらも善し悪しがあるので、自分に合う方を選びましょう。
講座の配信(提供)者
資格試験予備校では、所属する講師による講義を予備校の講座として配信・提供します。
一方のBEXAは、講義を作成した講師本人がBEXAのシステム上で講座を配信することができます。
「〇〇予備校の〇〇講座(担当:〇〇講師)」ではなく、「〇〇講師の〇〇講座」として配信(提供)することが可能です。
講座の配信(提供)方法
資格試験の予備校は、講座を通学(教室型)、DVD、オンラインのいずれかの方法で提供します。
一方のBEXAはオンラインのプラットフォームで、Webのみの提供です。
製本テキストを準備している講座もありますが、Webテキストのみの講座も珍しくありません。
講座の企画・運営
資格試験の予備校では、講座の制作・リリース、宣伝からクレーム対応まで全て、予備校の運営スタッフが行います。
BEXA(ベクサ)は、講座の制作やリリースなどを全て講師が担当します。
販売・配信はBEXAに委託していますが、講師自身が手掛ける内容が予備校よりはるかに多いのが特徴です。
プラットフォーム
予備試験予備校は、各自で校舎やeラーニングシステムを持っており、そこで講義を配信(提供)しています。
予備校によってシステムが違いますが、同じ予備校内では講師が違っても同じシステムを利用するのが基本です。
BEXAは、講師が作成した講義をBEXAのシステム上で販売・配信しています。
どの講師の講義も、BEXAのシステムで視聴することになります。
講師の中には予備校や通信講座で講師をしている人もいますが、BEXAで講座を配信する場合はBEXAのシステムを利用しています。
ただし、講義は講師自身が自作しているので、講師によって内容が大きく異なります。
講座の購入
予備試験予備校では、講座を単品またはコースで購入します。
初学者の場合、基礎講座から短答対策、論文対策、答練・添削までセットになったコースを選べば、単品で購入するよりもお得です。
例えば、高い合格実績を誇る通信講座のアガルートアカデミーだと、予備試験1年合格カリキュラムという初学者向けコースを設定しています。
一方のBEXAは、講座単位で購入するのが基本的な購入方法です。
複数の講座を割安でセット購入できるプランを販売している講師もいます。
BEXA(ベクサ)で人気の司法試験予備試験講座の講師・講座
BEXAの公式サイトでは、資格試験の講座別に講師の人気ランキングが公開されています。
講師ランキングは2週間、月間、年間、通算の4種類に分かれており、上の画像は年間ランキングを表示していています。
中村充講師、吉野勲講師、加藤喬講師など業界の有名講師が目白押しです。
また、辰已法律研究所もBEXAで講座の提供を開始しています。
中村充講師(元Wセミナー(TAC)人気講師)
中村充講師は、Wセミナー(TAC)予備試験講座で人気講師をされていた超有名講師です。
4段階アルゴリズム(4S)を使った独自の勉強法の考案者で、次のような実績を残されています。
- 1年で試験結果の順位を4000番台から3桁台にして合格
- 働きながら1年で予備試験に一発合格
- 8ヶ月の勉強期間で予備試験に合格
4Sというのは①当事者確定、②言い分、③条文を探す、④当てはめという4ステップで問題を解くやり方です。
Wセミナー時代から絶大な支持を得ており、私の勉強仲間にも中村先生と4S目当てに受講する人が何人もいました。
今は、中村講師の4Sを学ぶにはBEXAの講座を受講するしかありません。
Twitterで利用している予備校についてアンケートを取らせてもらったところ、BEXAの中村講師の講座を勧めてくれる人もいました。
他にも、SNSをチェックすると中村講師の講座に対する口コミ評判が見つかります。
吉野勲講師(元資格スクエア予備試験講座の人気講師)
吉野勲講師は、資格スクエアの予備試験講座で人気講師の一人だった講師です。
大手予備校の伊藤塾での受験指導経験が長く、論文問題を的中させて合格率を押し上げたり、カウンセリングに相談者が殺到したりするなど逸話がたくさんあります。
1800人を超える受験生が吉野講師の講座を受講し、今もなお増え続ける人気ぶりです。
BEXA予備試験講座の講師では開講講座が多く、旧司法試験・予備試験・新司法試験の全講座、判例百選・条文講義の全科目個別指導と答練解説まで担当されています。
加藤喬講師(元資格スクエア、現加藤ゼミナールの講師)
加藤喬講師は、加藤ゼミナール代表の人気講師です。
辰已法律研究所で講師として勤務された後、資格スクエアの司法試験講座を経て、現在は加藤ゼミナールをスタートされています。
BEXAでは、基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座等を配信されています。
著書には、法学書院出版「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年 行政法」があります。
その他の人気講師は次のとおりです。
- 伊藤たける講師
- 剛力大講師
- 愛川拓巳講師
BEXA(ベクサ)の司法試験予備試験講座の利用方法
BEXAの利用方法について確認していきます。
BEXAに登録する方法
BEXAを利用するには無料登録が必要です。
公式サイトにアクセスし、画面左の「マイページ」をクリックします。
ログイン画面が表示されるので、画面下の「無料登録」をクリックします。
「新規会員登録」をクリックし、登録画面に進みます。
登録は3つのステップがあります。
まず、メールアドレスとパスワードを入力し、「保存して次へ」をクリックします。
続いて、氏名、フリガナ、都道府県を入力します。
いずれも公開されないので、正しい内容を入力してください。
最後に、学習状況についての質問に回答し、「判定する」をクリックします。
判定結果が表示されたら登録完了です。
画面下の「ログイン」ボタンからログインしましょう。
BEXA公式サイトのトップページが表示され、チュートリアルが表示されていればログイン成功です。
BEXAの講座をチェックする
BEXAに無料登録したら、受講したい講座をチェックします。
画面左のメニューから「講座を買う」をクリックすると下の画像が開きます。
「講座を買う」画面では、次の項目から講座を絞り込めます。
- 検索(講座名・キーワード)
- 講師:50音順のプルダウン
- 試験:試験の種類・名称
- 科目:科目の種類・名称
- 対策:ステージ・カテゴリー
- タイプ:殿堂入り・おすすめ・新着
例えば、「予備試験」で検索を書けた場合、78個の講座が表示されます。
受験する試験や気になる講師、科目など複数項目で絞りをかければ、自分に合った講座を見つけやすくなります。
無料で視聴できる講義もあるので、まずは視聴して感触をつかんでみると良いです。
BEXAの講座を購入する
BEXAの講座を購入する方法を書いていきます。
画面左の「講座を買う」をクリックして講座購入画面を開き、気になる講座をクリックします。
講座の詳細画面が表示されるので、購入プランを選んで「今すぐ申し込む」をクリックし、購入画面に進みます。
選択した講座がカート内にあるのを確認し、「進む」をクリックしてお客様情報に進みます。
名前、フリガナ、電話番号、郵便番号、都道府県、市区町村名、番地・ビル名を入力し、「進む」をクリックします。
支払い方法を選択して「内容確認へ進む」をクリックします。
クーポンを利用する場合は、クーポンコードを入力します。
内容確認画面が表示されるので、決済内容と支払い方法、配送先をチェックします。
問題がなければ「決済へ進む」をクリックし、支払い方法ごとの画面に進みましょう。
クレジットカード決済の場合、カード情報を入力して「決済を完了する」をクリックすれば購入完了です。
決済完了後は、登録メールアドレス宛にメールが届きます。
マイページには購入した講座が追加され、いつでも視聴できるようになります。
BEXAの講義を視聴する
購入したBEXAの講義はマイページから視聴できます。
マイページの下の方に「購入済み講座」が一覧表示されているので、視聴したい講義を選択しまましょう。
講座の詳細画面が表示され、「今すぐ受講する」をクリックすれば講義が始まります。
BEXAの視聴画面です。
吉野先生の講義では、画面には大きなスライドが表示され、右下に講師の顔が表示されています。
スタディングの予備試験講座と同じく、スライドを見ながら講師の説明を聴くスタイルです。
講義のインターフェイスは講師によって異なります。
例えば、中村先生の講義画面は下の画像のとおりです。
画面だけでなく、製本テキストの有無や視聴スタイル(Webテキストを表示するかどうかなど)も講座によって異なります。
予備校の場合はインターフェイスが決まっていますが、BEXAの場合は講師ごとにバラバラです。
そのため、講師や講義内容だけでなく、視聴性も講座選びの重要なポイントになります。
BEXAのメッセージ機能
BEXAには、大手予備校の講座にはない「メッセージ機能」が搭載されています。
お問い合わせは、BEXAの運営に対して使い勝手やシステムに関する問い合わせができるフォームです。
注目なのが「講師に質問」です。
この機能を利用すれば、講師に質問し、講師から直に返事をもらうことができます。
この点は、予備校の予備試験講座にはないBEXAのメリットと言えるでしょう。
講師と直にやりとりできる機会なんてそうないので、お気に入りの講師がいるなら絶好の機会と言えます。
ただし、質問に対応している講師は一部のみで、受講している講座の講師に質問できるとは限りません。
有名どころでは、中村充先生が不定期で質問に応じてくれています。
BEXAの司法試験予備試験講座は初学者向けか
BEXAは初学者向けとは言えませんでした。
理由は3つあります。
- 自分で講座を選ぶ必要がある
- 予備試験の勉強に必要な講座が揃っていない
- サポート体制に不安がある
ただし、近年は初学者向け講座が増えてきており、初学者を適切にフォローする仕組みもできています。
自分で講座を選ぶ必要がある
司法試験予備試験の予備校の場合、どこも初学者向けの総合プラン(カリキュラム)があります。
基礎講座から短答式対策、論文対策、法律実務基礎講座までそろったプランです。
初学者が一から法律の勉強をして予備試験に合格できるカリキュラムが組まれているので、受験生は安心して受講することが可能です。
BEXAの司法試験予備試験講座は、講座を自分でピックアップして選ぶ必要があります。
講師によっては基礎講座だけでなく条文講座や判例講座、論文講座など幅広い講座を配信されていますが、予備校の講座のように一連のカリキュラムにはなっていません。
そのため、受験生が自分でカリキュラムを組み、それに合う講座をピックアップして受講しなければなりません。
初学者が予備試験の勉強で悩みやすいのが学習フローや進捗管理です。
予備校にはサポート体制が整備されていますが、ベクサにはサポートがありません。
予備試験の勉強に必要な講座が揃っていない
予備試験予備校の初学者向け総合プランには、次の4つの講座が含まれています。
- 基礎講座:予備試験合格の土台となる法律の基礎知識を習得する講座
- 短答講座:短答式試験の過去問や解き方を体系的に学習する講座
- 論文講座:法律の基礎知識をアウトプットして論文を作成する能力を養う講座
- 法律実務基礎講座:法律が社会でどのように活用されているか学ぶ講座(応用)
BEXAで人気のある講師の講座をチェックしてみましたが、伊藤塾の予備試験講座のように4講座を全て配信している講師は見当たりません。
同じ講師の講座を一貫して受講することができませんし、法律実務基礎講座のように配信している講師が少ないものもあります。
予備試験合格には上記4つの講座の受講は不可欠なので、現時点ではBEXAだけでは物足りないと言わざるを得ません。
サポート体制に不安がある
BEXAのサポート体制は質問サポートが中心で、予備校のようなトータルサポートやカウンセリングなどはありません。
また、添削指導も受けられません。
例えば、アガルートの司法試験・予備試験講座は、答練添削が充実していますし、Facebookグループ内で回数制限なく講師に質問できます。
また、月1回のカウンセリングなど、受講生に対する手厚いサポートも人気です。
今後、BEXAが予備校や通信講座のようなサポートを始めないとは限りませんが、現時点でサポート体制が手厚いとは言えません。
予備試験の勉強で答練・添削を受けられないのは、はっきり言ってキツイです。
BEXAをメインにするなら他校で添削を受けることになりますが、余計に費用がかかってしまいます。
初学者の利用者が増えてきている
吉野講師や中村講師など人気講師が相次いでBEXAで講座を提供されるようになり、初学者でもBEXAを受講する人は増えています。
それに伴い、初学者向け講座や講師のサポートも増えてきており、サービス開始時と比較すると初学者に優しくなったと言えます。
また、学習経験者で、苦手分野をピンポイントで克服したい人にはBEXA以上の学習サービスは見当たりません。
予備校の予備試験講座を受講しながら、BEXAで憧れの講師の講義を受講してみるというのもアリです。
予備試験の勉強を本気で始めるかどうか迷っていて試しに基礎講座だけ受けてみたい人も、有名講師が複数いるBEXAが向いているでしょう。
BEXA(ベクサ)の司法試験予備試験講座のまとめ
BEXA(ベクサ)は、司法試験予備試験の新しい勉強方法として注目されるオンライン学習サービスです。
相性の良い講師の講座を必要なだけを受講できるサービスとして、学習経験者の間で人気が高まっています。
初学者には使いにくさがありましたが、近年は講座やサポートが充実して使い勝手は向上しています。
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