合格実績のある老舗とオンラインの評判が良い新興の予備校だね。
講座の特徴が大きく違うから、人によって向き不向きがあるよ。
Twitterで司法試験・予備試験の講座選び中の人向けに、「どの講座が第一候補ですか?」というアンケートを実施しました。
選択肢の続きです。
— こもり (@comoli_ve) September 13, 2020
結果は伊藤塾が第1位、6票差でアガルートが第2位、資格スクエアは第6位という結果でした。
でも、「予備試験 予備校 比較」と検索して表示される記事の大半で資格スクエアが高く評価されているので、気になっている人も多いでしょう。
そこで、圧倒的な合格実績を誇り、Twitterアンケートでも人気のあった伊藤塾と、比較記事で高い評価が多い資格スクエアを比較しました。
この記事では、伊藤塾と資格スクエアの予備試験講座を徹底比較し、各予備校が向いている人を紹介します。
目次
伊藤塾と資格スクエアの司法試験・予備試験講座
伊藤塾と資格スクエアは予備試験講座を開講しているが、目標もカリキュラムも大きく異なります。
伊藤塾の司法試験・予備試験講座
伊藤塾は、司法試験や予備試験を目指す人なら知らない人はいない有名予備校です。
伊藤真先生や呉明植先生などの有名講師による質の高い講義とテキストは、法律初学者にも分かりやすいと定評があります。
予備試験講座は他講座とはけた違いの合格実績を誇り、2019年度には最終合格者の5人に4人が伊藤塾出身という実績を叩き出しています。
一方で、800時間を超える講義や網羅性を重視したカリキュラムには「効率が悪い」という意見もあります。
また、近年は予備試験講座でもオンライン学習が人気ですが、伊藤塾のオンラインはレベルが高いとは言えません。
メリット | デメリット |
・けた違いな合格実績 ・質の高い講義とテキスト ・総勢16名の圧倒的な講師陣 | ・網羅性を重視した受講時間800時間を超えるカリキュラム ・eラーニングシステムの質が低い |
「司法試験・予備試験といえば伊藤塾」といわれるレベルで有名な予備校です。
でも、カリキュラムやシステムに関する課題も指摘されています。
資格スクエアの司法試験・予備試験講座
資格スクエアは、2013年にサービス提供を開始したオンライン予備校です。
鬼頭政人先生が立ち上げた予備校で、巧みな広告戦略や人気講師による講義などが口コミで話題になり、有名予備校となっています。
予備試験講座は、人気講師の高野泰衡先生による講義と、業界トップレベルのオンライン学習システムの評価が高いです。
ただし、論文講義がやや手薄なうえに説明が難しいと言われています。
また、他講座では無料で利用できる音声ダウンロードが有料であることや、割引セールが少ないことも気になる点です。
メリット | デメリット |
・人気講師による講義 ・優秀なeラーニングシステム ・効率性を重視したカリキュラム | ・音声ダウンロードが有料 ・論文講義がやや手薄 |
資格スクエアは、新しい予備校ながら予備試験業界で絶大な人気を誇る高野先生を講師に据え、高い合格実績を叩き出している注目の通信講座です。
伊藤塾と資格スクエアを比較(6つの基準)
伊藤塾と資格スクエアの予備試験講座を「6つの基準」で比較します。
伊藤塾と資格スクエアの比較基準
6つの比較基準は次のとおりです。
基準 | 内容 |
価格 | 講座の購入にかかる費用 |
運営会社 | 講座を運営する会社の業績など |
実績 | 過去の合格者数など |
講座の質 | 教材の質 |
オンライン | オンライン講義の質 |
サポート | 学習サポート体制 |
・◎:とても良い
・〇:普通
・△:イマイチ
価格
伊藤塾 | 資格スクエア |
△ 1,114,900円~ | ◎ 877,800円 |
【価格表示してある初学者向けの基本コース】
・伊藤塾:司法試験入門講座 司法試験(予備試験・難関法科大学院共通)コース
・資格スクエア:逆算プラン
講座の価格が安いのは資格スクエアです。
伊藤塾と比較すると約25万円の差があります。
また、資格スクエアは割引セール・クーポンでさらにお得な価格での購入が可能です。
伊藤塾も、割引を利用すれば数万円単位で安くなりますが、定価が高いので100万円を下回ることは、ほぼぼありません。
資格スクエアをお得に受講したいなら、豪華な参加特典がもらえる無料のオンライン説明会には参加しておきましょう。
講座の割引クーポンなど16万5,000円相当の特典がもらえるからです。
特典をもらわずに講座を申し込むと相当損をするので、注意してください。
運営会社
伊藤塾 | 資格スクエア |
◎ 株式会社法学館 | 〇 株式会社サイトビジット |
伊藤塾を運営する株式会社法学館は、サービス開始から何十年も安定した運営を続けています。
資格スクエアを運営する株式会社サイトビジットも、経営状態に大きな問題は見られませんが、運営実績は法学館と比較すると浅いです。
実績
伊藤塾 | 資格スクエア |
◎ 2019年度最終合格者476名中 376名が伊藤塾の受講生 | △ 予備試験の累計合格者数200名以上 2019年度は147名 |
合格実績があるのは伊藤塾です。
2019年度の司法試験予備試験では、最終合格者476名のうち376名が伊藤塾の受講生でした。
予備試験ルートからの司法試験合格者も、315名中266名(5人に4人)が伊藤塾の受講生と圧倒的な実績です。
伊藤塾の合格実績は他講座とはけた違いです。
他の大手予備校と比べても高い合格実績で、合格実績の高さに惹かれて伊藤塾を選ぶ人は多くなっています。
資格スクエアも、予備試験の合格実績を公表しています。
サービス開始から2019年度予備試験までの累計合格者数が200名以上という実績です。
サービス開始から10年未満なので急成長がうかがえる数値ですが、伊藤塾には遠く及びません。
公式サイトには2019年度の合格者数が147人だと書いてあり、合格者の声が多数掲載されています。
近年は知名度が急激に高まって受講者数が増えているので、実績もさらに伸びる可能性はあります。
講座の質
伊藤塾 | 資格スクエア |
総 合:◎ 講 師:◎ 教 材:◎ 講 義:◎ カリキュラム:△ | 総 合:〇 講 師:〇 教 材:〇 講 義:〇 カリキュラム:〇 |
講座の質は、評価が難しいところではあります。
でも、「講師」「教材」「講義」「カリキュラム」の4つに分けると評価をつけやすいです。
講師
講師は伊藤塾が優秀です。
伊藤先生や呉先生など有名講師を含む総勢16名の講師が予備試験講座を担当します。
予備試験講座ではアガルートの14名を超える最大の講師数です。
基本コースでは7名の講師が、呉コースでは呉先生が講義を担当しており、他の講師も受講生サポートなどで活躍しています。
資格スクエアは、人気講師の高野泰衡先生がメイン講義を担当しています。
大手予備校の講師を長年務めてきた高野先生目当てに、資格スクエアを受講する人がいるほどです。
ただし、予備試験講座の講師数は4~5名程度で、高野先生以外に有力な講師が見当たらないことは課題と言えます。
6期の人気講師だった吉野先生は7期には参加されません。
吉野先生の講義を受講したいなら、BEXAで講座を購入する必要があります。
教材
教材は伊藤塾が優秀です。
伊藤塾のテキストをバイブルにしている受験生は多く、独学の受験生の間でも人気があります。
合格に必要な情報から弁護士の実務に役立つ情報まで幅広く掲載されているので、若手弁護士がデスクに伊藤塾のテキストを入れておくという逸話があるくらいです。
近年は、他講座のテキストを意識してフルカラー化し、グラフや図表、イラストを多用した分かりやすさ重視になっています。
資格スクエアのテキストは、合格に必要な情報が厳選してあり、効率的に合格を目指したい初学者は重宝します。
また、講義中に表示されるオンラインレジュメも、重要ポイントがコンパクトにまとまっていて分かりやすいです。
ただし、講師手作りのテキストを採用しているアガルートと比較すると、中身の濃さや講義とのリンク性に課題が残ります。
講義
講義の質は伊藤塾が優秀です。
基本コースでは、伊藤先生を含む7人の講師が各自の専門分野の講義を担当しています。
呉コースでは、看板講師の呉先生が一貫して講義を担当し、呉基礎本を使った独自色あふれる指導を受けることが可能です。
「初学者には分かりにくい」という口コミもありますが、初学者の一発合格が他講座より多いことから実力は疑うべくもありません。
資格スクエアは、高野先生の講義がとにかく分かりやすいと評判です。
難しい論点もかみ砕いて説明されるので、初学者でも無理なく理解することができます。
ただし、初学者向けのコースは一つしかなく、高野先生の講義が合わない人には向きません。
カリキュラム
伊藤塾のカリキュラムは、網羅的な学習を重視しています。
実務家の養成を意識しているので、合格に必要な情報だけでなく幅広い法律知識を学ぶことが可能です。
長い目で見ると有益ですが、受講時間が900時間近いので、働いている人や効率的に合格を目指したい人には向きません。
資格スクエアのカリキュラムは、合格に必要な情報だけを学べる効率重視になっています。
講義時間は約500時間とコンパクトなので、効率的に合格したい人向けです。
ただし、論文講座が約200時間とやや短く、「論文対策が手薄だった」という受講生が少なくありません。
オンライン
伊藤塾 | 資格スクエア |
△ | ◎ |
オンラインが優秀なのは資格スクエアです。
オンライン講義の画面を見比べてみましょう。


出典:伊藤塾(左)、資格スクエア(右)
伊藤塾のオンライン講義は、通学生向け講義の録画をWeb上で閲覧できるだけです。
インターフェイスも古めかしく、倍速くらいしか機能がありません。
オンラインの質は予備試験講座で最低レベルです。
一方で、資格スクエアのオンライン(eラーニングシステム)は、予備試験講座で最高レベルです。
講義画面はオンラインレジュメが表示され、書き込みやマーカー引きも自由にできます。
学習フローや進捗管理、問題演習といった学習サポート機能が充実しているのも魅力です。
資格スクエアのオンラインは予備試験講座でトップレベルです。
スマホ視聴ではスタディングに一歩及びませんが、PC利用が中心なら快適に利用できますよ。
サポート
伊藤塾 | 資格スクエア |
◎ | ◎ |
サポート体制が優秀なのは、伊藤塾の通学コースです。
通学講座の場合、受講生の学習相談や個別カウンセリングなどを手厚くしてもらえます。
講師との距離が近く親身に相談に乗ってもらいやすいのも魅力です。
通信講座もオンラインで似たサポートを受けられますが、通学ほどは充実していません。
資格スクエアは、講義中に講師への質問を送信できるほか、毎月のフォローアップも充実しています。
学習の進捗管理や学習指導などを定期的にしてもらえるので、モチベーションやスケジュール管理に困りません。
オンライン独特の距離感はありますが、慣れれば快適に利用できます。
ただし、通信講座のサポート体制はアガルートが最も充実しています。
マネージメントオプションでは、講師から毎週1回1時間の個別指導を受けることができ、進捗管理から答案指導まで幅広くサポートが得られます。
合格率が全国平均の4.4倍にあたる17.7%まで跳ね上がるのも魅力です。
伊藤塾と資格スクエアはどっちがおすすめ?
伊藤塾と資格スクエアを「6つの基準」で評価した結果をまとめました。
講座 | 伊藤塾 | 資格スクエア |
価格 | △ | ◎ |
運営会社 | ◎ | 〇 |
実績 | ◎ | △ |
講座の質 | ◎ | 〇 |
オンライン | △ | ◎ |
サポート | ◎ | ◎ |
「運営会社」「実績」「講座の質」で選ぶなら伊藤塾です。
長年の運営で蓄積されたノウハウと実力派講師による質の高い講義と、その結果としての高い合格実績は、伊藤塾ならではの強みと言えます。
ただし、「価格」が高く「オンライン」の質も低いのが課題です。
「価格」と「オンライン」、通信の「サポート体制」で選ぶなら資格スクエアです。
また、講座の質はトータルで見ると伊藤塾に及びませんが、効率的に合格を目指せるカリキュラムという点では資格スクエアの方が優秀と言えます。
ただし、論文講座がやや手薄なのと、「初学者には難しい」という口コミもあるのが気になるところです。
オンライン講座で基礎から論文まですべて学習したい人にはアガルートが向いています。
基礎講座を資格スクエア並みに抑える一方で、論文講座は伊藤塾並みに時間を割くカリキュラムが好評です。
伊藤塾がおすすめな人
伊藤塾がおすすめな人は、次のとおりです。
・合格実績や有名講師で予備校を決めたい人
・手厚いサポート体制を求める人
伊藤塾の網羅的なカリキュラムが向いているのは、十分な学習時間が確保できて、効率性よりも網羅性を重視したい人です。
また、有名講師による講義で勉強したい、高い合格実績のある講座を受講したい、手厚いサポートを受けたいという人も伊藤塾が向いています。
一方で、スケジュールやモチベーション管理がある程度自分でできて、効率的に合格を目指したいという人は「過保護だし時間がかかりすぎる」と思うかもしれません。
|詳しくはこちら|
資格スクエアがおすすめな人
資格スクエアがおすすめなのは、次のような人です。
・効率的に短期合格を目指したい人
・学習コストを抑えたい人
資格スクエアの予備試験講座が向いているのは、忙しくて時間がなく、短い時間でも効率よく学習を進めたい人です。
また、学習コストを抑えたい人にも向いています。
通信講座のなかでは、フォローアップや質問サポートなどが整備されているのも魅力です。
|詳しくはこちら|
大手予備校より安く合格者が多いので、コスパも優秀です。
伊藤塾と資格スクエアの比較のまとめ
伊藤塾と資格スクエアの予備試験講座は特徴が大きく異なり、学習時間やスタイルによって向き不向きがはっきり分かれます。
ザックリ言えば、十分な学習時間を確保できる学生などは伊藤塾、忙しく働いていて学習時間の確保が難しい社会人は資格スクエアがおすすめです。
まずは気になった講座の公式サイトにアクセスし、無料講義の視聴やサンプルテキストの閲覧をして、自分に合った講座を試してみてください。
圧倒的な合格実績と有名講師陣で選ぶなら
価格とオンラインの使い勝手で選ぶなら
私はフルタイム勤務で残業も多い仕事をしているので、オンライン予備校の資格スクエアを検討しました。
でも、論文講座が手薄という口コミが多く、実際にカリキュラムを見ると物足りなさを感じたので、アガルートを受講しています。
ちなみに、働いていなければ伊藤塾も有力な選択肢でした。