・行政書士から司法書士になるメリット
行政書士を取得した後、さらに他資格の取得を目指す人は少なくありません。
中でも多いのが、行政書士から司法書士へのステップアップ。
でも、「合格できるものなの?」「司法書士って難しいんじゃ…」という人も多いものです。
そこで、この記事では、行政書士から司法書士を目指すメリットと勉強法を紹介します。
合格に役立つ講座選びは、司法書士の予備校・通信講座を徹底比較にまとめています。
まず行政書士を目指す人は、行政書士講座のある予備校を徹底比較を読んでみてください。
行政書士から司法書士試験を目指すメリット
行政書士から司法書士を目指す人が増えているのは、メリットがあるからです。
共通の試験科目がある
行政書士試験と司法書士試験では、共通する科目があります。
科目 | 行政書士 | 司法書士 |
基礎法学 | 〇 | |
憲法 | 〇 | 〇 |
民法 | 〇 | 〇 |
刑法 | 〇 | |
行政法 | 〇 | |
商法(会社法) | 〇 | 〇 |
民事訴訟法 | 〇 | |
民事保全法 | 〇 | |
民事執行法 | 〇 | |
司法書士法 | 〇 | |
供託法 | 〇 | |
不動産登記法 | 〇 | |
商業登記法 | 〇 | |
一般知識 | 〇 |
共通するのは、憲法、民法、商法(会社法)です。
特に、民法と商法は司法書士試験の主要4科目に含まれ、前出題数に占める割合が大きくなっています。
そのため、ゼロから学習する人と比べると、行政書士試験の勉強をしていたことが大きなアドバンテージになります。
また、司法書士試験では、部分審査請求など行政不服審査法の論点が出題されることもあります。
行政書士試験では重要な分野なので、ここも行政書士試験の勉強が役立つ部分です。
すでに得ている知識があるので、司法書士試験の特徴である登記法などに時間をかけられるようになります。
学習方法を身につけている
行政書士試験の勉強をして合格したという経験も、司法書士試験の勉強に役立ちます。
まず、法律系の難関資格の勉強法が身についていること。
自分なりの学習スタイルを身につけていることは、行政書士合格者の強みです。
また、難関資格に合格したという成功体験は、司法書士試験の勉強のモチベーション維持につながります。
長く苦しい試験勉強も、「頑張れば合格できる」という実感があれば継続しやすいです。
行政書士と司法書士の違い
行政書士試験と司法書士試験は、違いもあります。
- 科目が多い
- 問われる知識のレベルが違う
法律科目が多い
行政書士試験の法律科目は、基礎法学を含めて5科目です。
それに対して、司法書士試験では、次の11科目が出題されます。
- 民法
- 不動産登記法
- 商法・会社法
- 商業登記法
- 民事訴訟法
- 民事執行法
- 民事保全法
- 司法書士法
- 供託法
- 刑法
- 憲法
特に、不動産登記法や商業登記法など司法書士特有の科目については、ゼロから勉強が必要です。
問われる知識のレベルが違う
2つの試験の共通科目(憲法、民法、商法)も、問われる知識のレベルが異なります。
憲法は、大きな差はありません。
でも、民法と商法(会社法)は、行政書士試験よりも広く深い知識が必要です。
重箱の隅をつつくような細かい知識も問われるので、ザックリとした知識では対応できません。
行政書士から司法書士にステップアップするメリット
行政書士と司法書士のダブルライセンスを取得すると、業務の幅が拡がります。
行政書士と司法書士で共通する業務
行政書士と司法書士で共通する業務もあります。
例えば、検察への告訴・告発状の作成、検察審査会への提出書類の作成や、法務大臣への帰化許可申請書の作成などです。
これらの業務は、共同・独占業務とされ、行政書士でも司法書士でも対応できます。
行政書士と司法書士の業務の違い
行政書士の司法書士では、対応できる業務に大きな違いがあります。
行政書士と司法書士の主な業務は次のとおり。
行政書士 | 司法書士 |
・官公署に提出する許認可などの書類作成・手続き代理 ・権利義務や事実証明に関する書類の作成 ・書類作成上の相談業務 |
・登記や供託に関する手続きの代理 ・裁判所への訴状や告訴状の作成 ・簡易裁判所での代理人業務 |
例えば、相続手続きでは、遺言書の作成や相続人の調査は行政書士と司法書士の両方が対応できます。
一方で、遺産分割協議書の作成は行政書士だけ、不動産の相続に関する不動産登記は司法書士しかできません。
また、会社設立手続きでは、公証人役場での認証手続きや定款の作成は、司法書士と行政書士どちらも対応できます。
でも、発起人の意思決定書の作成は行政書士、登記手続きや役員変更などに必要な書類関係は司法書士の業務です。
ダブルライセンスが理想的
行政書士と司法書士は業務範囲が隣接しており、それぞれできることが異なります。
ダブルライセンスを取得すれば、幅広い業務を一貫して担当することが可能になり、新たな顧客や業務の獲得に役立ちます。
例えば、相続手続きなら遺産分割協議書の作成から不動産登記まで一貫した対応が可能です。
会社設立手続きなら、設立前から設立後まで単独で対応できるようになります。
取り扱える業務の幅が拡がって依頼が増えれば収入アップにつながり、生活水準も向上します。
行政書士が司法書士試験に合格するための勉強法
行政書士合格者が、ゼロから始める人よりアドバンテージがあるのは間違いありません。
でも、司法書士の方が試験科目が多く、難易度も高くなっています。
そのため、合格するための勉強法もブラッシュアップさせる必要があります。
予備校・通信講座を使う
司法書士試験に独学で合格するには、3,000時間はかかると言われています。
行政書士試験は1,000時間程度と言われているので、勉強時間で見ると約3倍かかる計算です。
行政書士の勉強で基本的な学習スタイルと知識が身についていても、プラスアルファの部分は簡単に埋まるものではありません。
そのため、行政書士から司法書士にステップアップする人の多くは、予備校や通信講座の司法書士講座を利用しています。
特に、行政書士として働きながら勉強する人や、行政書士試験から期間を空けて司法書士にチャレンジする人は、その傾向が顕著です。
司法書士講座を利用すれば、プロ講師が作成した「合格できるカリキュラム」を利用して効率的に学習できます。
勉強法やスケジュールはもちろん、合格に必要な知識を体系的に学べるので、限られた時間でも十分に合格を目指せるのがメリットです。
合格ライン突破を目標にする
司法書士試験は資格を取得するための試験なので、合格ラインを突破すれば何位で合格しても結果は同じです。
高得点を目指しても問題はありませんが、非常に細かい知識を問う問題が多数出題されるので、それらを網羅するには膨大な時間がかかってしまいます。
できるだけ効率的に合格を目指すなら、合格ライン突破を目標にするのが基本です。
働きながら勉強するなら、特に効率性を重視することが大切になります。
司法書士向けの教材を使う
行政書士からのステップアップを狙う人が陥りやすいのが、行政書士の教材をそのまま使い続けることです。
特に、両試験で共通する憲法・民法・商法について、行政書士の教材を使い続ける人は少なくありません。
でも、教材の使いまわしはおすすめできません。
行政書士試験と司法書士試験では、問われる知識の範囲やレベルが異なるからです。
憲法はともかく、民法と商法は行政書士レベルの知識では司法書士試験には歯が立ちません。
過去問を分析して出題傾向を把握し、頻出分野を中心に細かい知識まで習得する必要があります。
行政書士合格者向けの予備校・通信講座3つ
行政書士合格者が司法書士試験の勉強をするのに向いている予備校・通信講座は、次の3つです。
- アガルート
- スタディング
- 資格スクエア
アガルート
アガルートは、司法試験・予備試験など難関資格の対策講座が人気の通信講座です。
司法書士講座は、約1年で最短ルート合格を目指せるカリキュラムと、司法書士講座で最も手厚いサポート体制が特徴。
予備校の半額程度のリーズナブルな価格も、大きな魅力になっています。
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スタディング
スタディングは、働きながら資格を取得したい人向けの通信講座です。
司法書士講座は、圧倒的な低価格と、スマホ一つで学習できるeラーニングが評判になっています。
「安かろう悪かろう」を指摘する声もありますが、限られた時間で効率的に合格するのに必要な情報は全て搭載されています。
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資格スクエア
資格スクエアは、効率特化のカリキュラムとeラーニングシステムが有名な通信講座です。
司法書士講座は、「逆算思考の合格術」を採用した短期合格向けカリキュラムが特徴で、社会人を中心に注目されています。
2021年版から価格が高くなりましたが、人気講師の三枝りょう先生は留任で、講座内容やサポート体制はより充実しています。
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行政書士から司法書士試験に合格する方法のまとめ
行政書士に合格してから司法書士にチャレンジする人は増えています。
共通科目があるので勉強しやすく、合格後は業務の幅がググっと拡がるので魅力的なステップアップです。
でも、難易度では司法書士試験の方が相当に高く、行政書士に合格していても独学で合格するのは簡単ではありません。
1~2年くらい専業で勉強できるならともかく、働きながら合格を目指すなら予備校や通信講座を受講するのが無難です。
現在は、質の高い通信講座が複数あるので、予備校に通う時間がなくても自宅学習で司法書士試験を突破できます。
本気で合格を目指すなら、気になる通信講座をチェックしてみましょう。
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